結局のところ私の思春期なんて、修二と彰とヤンクミに支えてもらうしかなかったんだわ

このところ、ふと出身校について思いを馳せることが多い。

 

中高一貫・私立女子高である私の出身校は言わずと知れたお嬢様学校で、女子御三家にこそ入っていないものの「『御三家』のような低俗な格付けには参加しませんのですわ」みたいな寝言を言ってそうなプライドの高さがある。

 

グローバル人材を育成すると言って語学教育に力を入れる割に、貞淑な女性像を表現した校訓は「戦後」然としたままじゃないですか?みたいな違和感はあるが、まあそのあたりは老舗ブランドとしての価値なのでOK。むしろ、小学生のときその老舗ブランドの制服を身にまといながら、通学路でたまたま会った男の先生に「かんちょー!」とか言ってエアカンチョーギャグをしていたようなお嬢様学校の恥たるクソガキだった私でも人と普通に喋れる大人に育ててくれたので感謝している。あとこれ以上出身校のこと茶化してたら絶対誰かに怒られる。

 

最近考えているのは、出身校のお嬢様学校としての側面ではなく、女子校としての側面である。

 

「女子校」についてはここ10年で鬼のように語り尽くされているので、その特性について一般人OLが語るまでもないけれども、男の先生がいても教室で普通に着替える、雨の日は濡れたタイツをそこらへんに干す、お決まりの「暑い日のスカートぱたぱた」などなんでもありの環境は都市伝説ではなくまさにその通りである。最近はそんなに親しくない同世代の女性が集まるときはまず高校が共学か女子校かで盛り上がり、「男の目線など気にせず自由に生きてた我々」という謎のプライドを他の女子校出身者と共有するところから始まったりする。

 

いま書いたように、女子校出身者の言動やプライドはその「男が近くにいない」という厳然たる事実によってほぼかたちづくられている。当然、その状況があるからして14歳くらいの思春期のロマンスなんてのは一部の選ばれし女子たちにしか発生しえないわけで、むしろロマンスに対しては過激派の女子校生であった私は「彼氏がいる女はビッチ」というほどの認識だった。共学だった小学校で存在が近かった男の子となんとなくいい感じ♡とか、初めて行った塾で緊張していたら隣の男の子がステキな笑顔でリードしてくれて…!?キュン♡とか、今思えば自然な出会いの場なんていくらでもあったろうに、男の子と積極的にコミュニケーションを取っている女の子はスゲエ、むしろヤベえ、みたいなことを漠然と思っていた。なぜあそこまで極右だったのかはもはやよくわからない。

(多分自らの女性性を認知しながらも、それを使うタイミングが皆無だったから、同じ環境にいるはずなのに自分とは違い女性性を行使している女子がうらやましかったのだと思う。)

 

そんなわけで、特にこれといったSNSもなかった思春期を支えるものは、日常的に生きているだけでマスメディアから垂れ流され目や耳に入ってくるエンタメだけとなった。
すでに小6にしてNEWSやら嵐やらに熱狂してしまっていた私にとっては、2005年の小学校卒業・中学入学と同時に放送された「ごくせん」2期とともに思春期がはじまった。その夏には「ドラゴン桜」が放送され、中学校の友達にも慣れてきた10月に「野ブタ。をプロデュース」が始まった。そんなんさあー。踊るじゃーん。青春アミーゴー。Si おーれたちはいつーでーもー、って、教室の後ろのほうでみんなでやるじゃーん。ちょうど仲良くなってきたころなんだからさー。

で、バイセコー、バイバイセコー、とかいう、いかにも教室で流行らせたそうなドラマ内のネタに気持ちよくハマり友人と教室で再現しながら、同時期に「花より男子」のF4なら誰?とぎゃあぎゃあ盛り上がっていた。普通にどう考えても花沢類がいちばんかっこいいのに、「えー、ドラマなら西門さんでー、マンガなら美作さんかなー」とか言えばちょっと通っぽく見えるかなと思ってそう言ってた。どっちにしても花沢類だろ、当時の私。素直に認めろ。


そんな流れで中2では「クロサギ」「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」について毎週月曜日、中3では「プロポーズ大作戦」について毎週火曜日にクラスメイトと興奮しながら話していたわけだが、

いや、ここまで書いて思ったけど、山Pすごくね?

 

思春期たる中学生時代3年間に放送されたドラマ、毎年主演を張っている。私は特別に山Pが好きだったわけではないが、しっかりと私の青春時代に息づいている。ありがとう山P。ロマンスにたいして過激派の私はグレることも男遊びに憧れて夜の街に繰り出すこともなく、あなたのドラマと歌に支えられて思春期を終えました。ありがとう。あと亀梨くんも。ヤンクミも。この場を借りてお礼を申し上げます。

 

お陰で年末のジャニーズカウントダウンで「懐かしの名コンビが!」とかいうテロップのもと山Pと亀梨くんが修二と彰として出てくるたびに、親に呆れられながら帰省した実家で青春アミーゴを踊っている。こないだ「カラオケでオレンジレンジを歌う2000年代生まれに出会いたくない」とかちょっと達観した風なことを言っていたばっかりだけど、これだけは声を大にして言いたい。

 

10年後のカラオケでも青春アミーゴを踊らせてくれ!!!!!
普段がんばって生きてるから!!!!!
サビ全部踊れるけど、せめてSiってとこだけはやらせてくれ!!!!!
おばさん、仕事はがんばるから!!!!!

 

私たちの思春期なんて、彼らに支えてもらうしかなかった程度のものだけど、でも、教室の端っこで修二や彰やヤンクミや花沢類にギャアギャア言っていた思春期は、それなりに宝なのかもしれない。少しは受け入れてあげたうえで、で、カラオケではサビ全部踊るのは我慢して、Siってとこだけやろうな。それでもたぶん、ちょっとイタいけどな。